PARIS RIO STORIES

外出禁止令を機に書き始めたパリのバーマンのお話。

1886年のレシピを基にオーガニックコーラを作ってみる<調合編>

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9種のオイル、3種のスパイスをいざ調合

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オーガニックコーラの材料

<準備編>の1886年のレシピを基に下記の材料を分量通り調合していきます。計量用に置き型のシリンダーがあると便利です。

 

< ステップ1>フレーバーオイルミックスを調合する

5.0ml シシリアオレンジオイルBIO

5.0mlライムオイルBIO

2.0ml レモンオイルBIO

4.0ml シナモンオイルBIO

2.0ml ナツメグオイルBIO

 1.0ml プチグレンオイルBIO

0.5ml コリアンダーオイルBIO

0.5ml ラベンダーオイルBIO

0.5ml クローブオイルBIO

 

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今回購入した全てのオイルがBIO規格でした。

よって今回作るコーラは「オーガニックコーラ」と呼べるかもしれません、いや呼んでしまいましょう!

オイルを調合していくと果物やスパイス、花を煮詰めたような複雑な香りが部屋中に立ちこめます。むせ返るような香気で以前、香水の調合をさせてもらった時の記憶が蘇ってきました。

「パフューム」という映画を見て香水調合師の仕事に興味を持った僕は夏休みにイタリアのチンクエテッレへ向かう道中、「香水の都」グラースに立ち寄りました。

 

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香水の都「グラース」

プロヴァンスと聞いて海沿いを想像していましたがグラースはカンヌの少し北、山合いの中にありました。派手さは無いですがどこか華やかなな街を歩くとどこからともなく果物やハーブ炊いたような香りがしてくる幻想的な佇まいの街でした。

ちなみにフランスの香水の50%、世界も香水に約10%がこの街で作られています。

フラゴナールという香水工場に調合体験に行ったのですが体験とは名ばかりで100種類を超える香りの中から20の香りを選んで調合していく作業はかなりの集中力が必要とされる本格的なものでした。

香水の調合はほんの数ミリリットル、違う香りを加えるだけで印象が大きく変わります。

今回の手作りコーラに加えるラベンダー、コリアンダーを加える発想もその時の経験が生きています。

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グラースでの香水調合体験

< ステップ2>フレーバーエミルションを作る

21ml フレーバーオイルミックス

40ml 水

20g アラビアガム

2滴 ウォッカ

アラビアガムは溶けにくいのでアルコール2滴と水を混ぜた後に少しずつ水を加え3分ほどブレンダーで混ぜ合わせてください。

 

< ステップ3>濃縮コーラを作る

25ml フレーバーエミルション

75ml ダークキャラメルシロップ

70ml 水(コーラナッツ10g、バニラ1本、グリーンカルダモン10g、メイス5gを煮出したもの)

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濃縮コーラ

今回初めて扱った食材の中にコーラナッツがあげられます。エルボリストには5分煮出して3分インフューズするようにと教えてもらいました。コーラナッツのティザンヌはいわゆる眠気防止や空腹を抑えるコーヒーのような効能が期待される飲み物としての位置付けのようです。

言われた通り鍋で煮出し段々とコーラのような良い香りがしてくるのを瞬間を待ちました。ところが全く何の匂いもしてきません。一瞬鼻が利かなくなるという流行病にかかったのかと疑ったくらいです。残っているバニラの匂いを嗅ぎ自分の嗅覚を確認してしまいました。(そしてホッとしました。)

10分近く漬け込んだ後、味見をしてみると余韻に微かな収斂性(しゅうれんせい)を感じます。細かいタンニンを感じるようなワインと山椒の中間のようなヒリヒリとする余韻、苦味とも呼べるようなレッドブル、コーラの後口と同じようなニュアンスがあります。

コーラナッツにはコーヒーの倍近くカフェインとタンニンが含まれているようなのでおそらくその成分なのでしょう。味見を繰り返しているとなんだか頭が冴えてきました。

 

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コーラの実をバニラと煮出す

< ステップ4>コーラ シロップを作る

10ml 濃縮コーラ

120ml 水

180g 砂糖

水の代わりにバニラとコーラナッツを煮出して減圧蒸留したものを加えてみました。煮出したままのもの、真水でも問題はありません。

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バニラとコーラナッツを減圧蒸留

< ステップ5>完成

30ml コーラシロップ

190ml ソーダ水

10ml ライムジュース

 

長い下準備もようやく終盤を向かえました。

シロップが冷蔵庫で冷めるまで待ちきれ無いのでボトルごと氷で冷やし時を待ちます。

グラスを冷凍庫で冷やしてフランスでは貴重なかちわり氷を用意していざテイスティング。

 

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コーラシロップの完成
テイスティング

冷めたコーラシロップ30mlグラスに入れ、キンキンに冷えたペリエを注ぎ、ライムを絞ります。シロップが沈むのでよく混ぜてからいただきます。

香りのアタックはシナモンが支配的。

一口飲んでみるとクローブやナツメグのスパイス、ビターシトラスが混然一体となって現れます。アメリカの飲み物というよりはモロッコ料理のようなスパイシーさ、プロヴァンスをイメージさせるフローラルさ、なんだかとっても地中海を感じます。思えばほとんどの材料がフランス産なので当然かもしれません。

飲んだ後に鼻に抜ける50秒を超えるアフターの長さは30年物のウイスキーのよう、改めてエッセンシャルオイルの香りの濃縮感を感じます。

口当たり、香りの抜け方、ナチュラルなテイスト、甘さに関しては予想以上の出来。

様々なアロマが鼻から抜け夢心地の中、たまにひょっこり顔を出すコカコーラ感がたまりません。

シナモンが立ち過ぎていたり今後レシピ調整は必要ですが未来のお店の看板商品となるオーガニックコーラの誕生を予感させる第一作目となりました。

今後は以前の香水の調合にも使ったグリーントマトオイルや日本の山椒や青じそ、その他フランスの面白いスパイスなどを使いオリジナルの極上レシピを見つけていきたいと思います。

興味がある方は是非ご自身でも挑戦してみてください。パリにお越しの際はお声かけいただければフランス産オーガニック手作りコーラをご用意出来るかもしれません!

それでは良い一日をお過ごしください。

 

2020年 7月11日、パリ

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手作りコーラ第1作目

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